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オリックス(8591)分析

先日オリックスの2021年3月期の第2四半期(2020年4月~9月)の決算が発表されました。

詳細な内容は会社の決算説明資料を見ていただくとして、私が感じたことを述べていきたいと思います。

 

今回は発表された上期累計の利益は、以下の通りでした。

当期純利益:938億円(前年同期比▲41.0%)

セグメント利益: 1,495億円(前年同期比▲38.0%)

 

 

総評とコロナの影響

大幅な減益です。単純に2倍して年換算しても、純利益は2,000億円に満たないことになります。

しかしこのコロナ禍、想定よりも検討しているのでは?というのが率直な印象です。

空港やホテル運営を抱えているため、相当な落ち込みが予想されていましたが、他の事業が安定的に稼いだことで、全体としては減益幅を最低限に食い止められました。

また、第1四半期よりもだいぶ持ち直してきています。

 

オリックスが特にコロナの影響を受けた事業として挙げているのは、以下の通りです。

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オリックス株式会社ホームページより引用

 

やはりコロナにより旅行(特に海外)がほぼ皆無になったことで、それに関連する事業が軒並み大打撃を受けています。リースは数年前に巨額の出資をしたアボロン社、そして空港コンセッションは関西3空港を抱え、非常に厳しい状況です。今後数年は元に戻ると思えず、多少の回復はあれども当面足を引っ張ることが予想されます。航空機リース業界は最近M&Aが活発化していることから、オリックスにもまた新たな動きがあるのでしょうか。

空港コンセッションは事業権利獲得後、順調に業績を伸ばして来ていただけに、非常に残念ですね。

逆に上記以外の事業については大きな影響はなく、総じて順調に利益を計上できていると言えます。

 

 

オリックスの強み

コロナによる減速はあったものの、今後も大きな成長が見込め、指標が圧倒的に割安であるオリックスについて、個人的に考える2つの強みを挙げてみたいと思います。

 

 

強み①:事業ポートフォリオの入替の柔軟性

上記でも触れたとおり、オリックスは様々な事業を有しており、一部の事業が不調でも総崩れとなることはまずありません。特に銀行・保険・カードなどといった不況にも強いビジネスを有していることで、リーマンショック東日本大震災など、有事の際でも常にオリックス全体としては黒字を維持してきました。

そんな中で、上記のアボロンの他にも、弥生会計、ロベコ、グリーンコーエナジー、インフラサービス会社など、コンスタントに数百~数千億円レベルの買収や出資を繰り返してします。

日系企業にありがちな、初のM&A挑戦で数千億円を投じ、数年後に大減損といったことはほぼなく、M&Aを繰り返す中で目利き力を身に付けた日本有数の企業であると思います。

 

更にオリックスの凄いところは、売却上手でもあるという部分だと思います。

基本的に日系企業の場合は買収の部分に注力されることが多いと感じており、買収後はそのまま統合・保有を継続していくか、大減損の果てに買収時の数分の一の価格で泣く泣く売却する、という2パターンにはっきりと分かれる気がします。

その一方でオリックスの場合は、市況に応じて高値で事業を売却する、という選択肢も持っています。事業会社でありながら、ファンド的な側面も兼ね合わせているということですね。

近年で言えばオリックスリビングやその他関連会社、不動産の一部売却など、高値で売れる状況であれば柔軟に売却できる態勢がとられています。ロベコも売却が噂されているようです。

 

買収・売却ともに常に情報収集のアンテナを張り、適切なタイミングで柔軟に売買をする。そんなところがオリックスの良さの一つかと思います。

 

 

強み②:適切なリスクコントロール

売買を繰り返しているオリックスですが、その裏には適切なリスクコントロールが存在します。借入は長期・短期が常にバランスよくコントロールされ、国内のみならず海外での銀行借入や社債も組み合わせるなど、複数の資金調達源を常に確保し、一定程度のキャッシュを備えています。それが上記の機動的な買収によるリスクテイクや、コロナ禍でも動じない運営につながってきます。

レバレッジを適度に利かせることで、オリックスROEは高水準で長い間保たれており、まさに株主資本を有効活用した優良企業と言えます。

 

 

今後のオリックス

一見順調そうに見えるオリックスですが、将来に向けて気になる点もいくつかあります。

まず一つが既存事業の停滞です。銀行・保険・カード・レンタカー・不動産など、ありとあらゆる事業を有していますが、その業界のダントツトップである事業はほとんどありません。特にオリックスの祖業であるリース事業は、ここ数年減益トレンドにあります。同様に法人金融事業も減益が続いており、もはやオリックスの中で低収益事業の部類となっています。

また一見堅調な銀行業については、オリックス銀行が不動産ローン(住宅・投資用とも)に注力するなどしてメガバンクとは異なる独自のポジションを築いてきました。ただ近年他行が急速に投資用不動産ローンを引き締める中で、オリックスは比較的融資を引きやすい状態が続いているようです。

コロナ禍で全国各地(特に都心部)の賃貸の空室率は急速に上昇しており、今後何らかの影響が出てくることが懸念されます。

 

 

まとめ

以上、オリックスの強みや心配な点について、個人的な見解を述べてきました。

総じて言えば非常に魅力的な企業で、今後も全体としては成長が続いていくと期待しています。

更に大阪IRに立候補していることもあり、当選が濃厚な雰囲気ですね。

収益寄与はまだだいぶ先になりますが、カジノを含む一帯のリゾート運営で、将来的には相当な利益貢献が期待されます。

 

楽しみな企業ですね。

それではまた。